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一陽来復。
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2008/12/24
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冬至が過ぎ、子供たちも冬休みに入り、街も少しは賑わいを取り戻しているのか、道路も渋滞して年の瀬を感じさせる。
今年も、閉店する書店さんの動きは止まらなかった。今や貴重になった書店の棚を埋めるべく細かく点検する。A書店に『新編旧水戸街道繁盛記』2冊。B書店で『イラストまつど物語』2冊。・・・。とても大手の出版社では仕事にならない世界であろうが、基本的にこういうやり方で、小社はほぼ40年やってきたのである。それもこれも県内に細かく張りめぐらされた書店網があってのことであるのだが。半減した書店数に比例して、小社の初版部数も半減した。20年前、2000部だったものが、今は1000部が良いところである。それでも、今年は、『房総の伝説民話紀行』をはじめ、読者の反応は思ったより良好であった。極端に我々の本が読者に見放されているとは思えないのである。「冬来たりなば、春遠からず」。政治も経済も社会も乱高下激しい一年であったが、これも世の常ではないか。我々の父祖が体験した変動に比べれば、耐えて、復活を目指せないものではないのではないか、などと思うのである。
先日の新聞で鹿島茂氏がこんなことを言っていた。
・・・ふたつの仮説を持っている。(1)…本に価値がどんどん出て蔵書家のステータスが上がる時代が間もまく来る。(2)次世代は、本を精力的に読む一部知識層が、本を読まない多数のネット層を支配する。「本はひとを裏切らない」・・・(「朝日新聞」夕刊12.15付)
誠に痛快である。
というわけで、新年も引き続き本を出していきます。よろしくお願いします。どうぞ良いお年をお迎え下さい。
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大河ドラマ「篤姫」考
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2008/12/05
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寒冷前線が通過。一転する天気の変化に、今年一年の激変を重ね合わせる思いをするのは小生だけではないでしょう。強風に枯れ葉舞い散る路上を走ると、GSのレギュラー価格がついに110円を切っています。三ヶ月前に180円台の数字を見たのが幻のようです。
大河ドラマを全回見てしまいそうです。全回達成は、あの「新選組!」以来かな。加齢のせいにもできるのですが、「ドラマ」と「現在」の類似してしまった社会状況も影響しているでしょうか。48回目「無血開城」の宮崎あおいの決めぜりふには参りました。大奥の立ち退きにあたって「おまえたちは徳川の家族だ。これからの皆の身の振り方の世話は私がする。散り散りになっても徳川の心、在り方を子々孫々、後世に伝えて欲しい」と、おおよそこのような感じだったかな?お付きの者たちを前に演説するのです。世界に冠たる大企業が、なりふり構わず、次々と非正規労働者の首を切り続ける「現在」に何というセリフでありましょうか。後世に伝えられような恥ずかしくない言葉を吐く経営者は出るのでしょうか。
田渕久美子の脚本が素晴らしい。小松帯刀という幕末維新史のなかでは比較的無名の人物をキーパーソンに据えたことで、維新史定番の西郷も勝も龍馬までもがコマの如く良く動きましたね。13代家定も、14代家茂もあの世で思わぬ脚光に涙を流しているのではないか。小松帯刀は、小生が今年前半を費やして読了した萩原延寿氏の『遠い崖ーアーネスト・サトウ日記抄』にもちらちら登場、大政奉還などに重要な役割を担っているのです。惜しくも明治2年に亡くなってしまうのですが、生きていれば、新政権の在り方にも…、というのは歴史のイフでしょう。
善悪を越えて、時代や社会の変化を誰も逃れる事が出来ない。日々実感する状況と、ドラマの進展が、見事(?)に連動してしまったのです。
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冬支度。
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2008/11/20
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北国に雪降りつもり、関東にも冬晴れの季節が訪れました。夏以降の金融危機が、直接・間接に身近に影響を及ぼし始め、いつになく寒さが身に沁みます。
そんな中、三人の中学二年生(女子)が「校外学習・職場体験」を小社で行いました。書店ではよく見かける光景ですが、出版社を選ぶとは、なかなか見所のある子供たちです。小社まで電車で1時間掛けて「通勤」して来るのですから、当方も全員で最大限のサービスをいたしました。要するに、「仕事は楽しい」ものであり、「働くことは意義のある」ことであり、「自分を取り巻く社会は信頼に足る」ものであることを学んで欲しいと思ったのですね。パソコンでの編集作業、ゲラの校正、カバー・スリップの掛け替え改装、書店への本の納品などなど、良くやってくれました。「本好き三人組」に良き将来の訪れることを祈ります。
「流山市立博物館友の会」が創立30年を迎えました。私たちとは切っても切れない(?)深〜い関係のある団体です。出たばかりの『におどり−30周年記念特集号』で山本鉱太郎氏は語っています。「旧住民の方はよく言いましたね。流山には歴史がねぇ。人が住んでいる限り歴史が無いということはない。これをどう掘り起こし光をあて、磨きをかけていくか…」。これがスタートだったのです。そして、会はこの活動を見事に30年やり続けました。会員の方々の数々の業績の一端は、僭越ながら小社の出版物に現れています。ここには「掘り起こされ、磨かれた流山の歴史」が充ち満ちています。これからもこの活動は続いていくでしょう。
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